1人で車に乗り家に帰る。

玄関の前に立ち隣の部屋のドアを眺めて
俯きながら鍵を開け1人で中に入る。

まだカレーのいい匂いがしている。

雪乃が倒れていた廊下には応急処置をした時の
ゴミが落ちている。

ダイニングテーブルの上にはメモが置いてある。


(どうしても今作りたかったの。ごめんなさい。
 賢心のカレーには勝てないけど、美味しいよ)


メモを読んで涙が溢れる。

すぐに温め直してカレーを食べる。

美味しすぎて、また涙が溢れる。

けれど、1人で食べるのは寂しくなる。

いつもそばにいる雪乃がいなくて不安になる。

仕事をしていてもシャワーを浴びていても
雪乃の事が気になる。

気付くとまた車を運転している。

そして、病室のドアをノックしている。


コンコン!

「はぁーい」

ゆっくりドアを開ける……

「賢心!帰ったんじゃなかったの?」

寝支度をしていた雪乃がベッドの横で驚きながら立っている。

雪乃の所へまっしぐらに進み抱きしめる。

「……会いたかった…」

「…大丈夫、生きてるよ……」


俺は、死ぬまで雪乃を愛する。