「畑中さん、最近顔が緩んでるけど何かいい事
でもあったのかい??」

「えっ!?ぁ、そうですか!?すみません」

「いいんだよ。ニコニコしてる方がリハビリしていても楽しくなるからね」

幸せが漏れてしまい、患者さんにまで伝わって
いたとは……しっかりしろ!私!!

「畑中さん、最近イケメンの彼氏に溺愛されてるんですよぉ~」

「ちょ、ちょっと綾香!」

「そういう事か!そりゃあそんな顔にもなるな!ハハハ!!」

「私の話はいいから、リハビリ始めますよ!」

「あれ!?噂をすれば!!」

仕事中なのに、珍しく中まで入って来る主治医の表情は、どことなく神妙な面持ち。

「リハビリ中にすみません。少しお借りします」

「はい!どうぞどうぞ」

私の担当患者に了承を得て廊下へ連れ出した。

「どうしたの?」

「急にごめん。午後一で検査したいんだ」

「午後一?でも仕事が…」

「係長の許可はもらってある。
午後から休んでいいって言ってくれたから」

「えっ?……休みって…」

「もしかすると、そのまま入院になるかもしれないけど、」

「入院!?」

「大丈夫、俺も涼も付いてるから。
後でまた迎えに来るね」


とりあえず患者さんの元へ戻るけれど、
頭の中は真っ白…
隠していた症状も全てバレていたんだと、
今頃反省しても、もう遅い。