夕食の後、無理を言って後片付けだけはさせて
もらう。

「疲れてるだろ?座ってていいのに…」

「朝も夜もご馳走になって何もしないのはさすがに申し訳ないよ。もう私の食事まで気にしなくていいからね」

「でも結婚するんだから、一緒にご飯食べるのは
普通の事だよ」

お皿を洗う手が一瞬止まる。

「‥……本当に、私と結婚したいと思ってるの?」

「幼稚園の時から思ってるよ」

「幼稚園の時は良かったけど……今でも本当に…」

「ずっと思ってるよ。今でもずっと」

そう言って後ろから抱きしめてきた賢心は、
手のひらを私の心臓に当てている。

「何を…確かめてるの?」

涙を堪えながら必死に平静を装い、胸に手を当てられたまま、なんとかお皿を洗い終えた。

「俺の事が、好きかどうか」

「胸、触りたいだけじゃないの?」

「……それもある」

笑った隙に振り返り、胸から手を離した。

「どうだった?私は、賢心の事が好きだった?」

「どうなの?雪乃は俺の事、好きなの?」

顔を見上げると、もう涙は我慢の限界。

「……好きだけど…私は、」

我慢の限界だったのは、賢心も一緒…
それ以上強がりを言わせないためにキスをして、
私の唇をふさいだ。