「賢心をいじめたら私が許さないからね!」

気弱だった賢心に意地悪する奴を、いつも私が
退治していた。

「私がやっつけたから、泣かないの!
もう小学生でしょ!!」

「ぅ…ぅ…だって…」

「大丈夫。私が守ってあげるから」


そんな泣き虫賢心は中学生になってすぐ、
一緒に陸上部に入ろう!と私を誘った。

「雪乃運動神経いいし、陸上部なら一緒に
帰れそうだしな」

自分のやりたい事より、私の事を考えて……

そして私が先生から長距離を勧められると、
走るのが苦手だった賢心も長距離を選んだ。

学校へ行く時も、部活の時も、家に帰る時も
ずっと一緒で、だんだん不思議な感情を抱く
ようになる。

大事な友達だし家族みたいだし、大好きだし。

そしていつもの帰り道、そんな感情を抑えきれなくなった私は、賢心にキスをしていた。
ゆっくり顔を離し、強がって言い訳したけど…

「…だって……賢心の事、大事だし…」

すると賢心はニコッと笑って、

「だって、俺雪乃の事大好きだし」って……

そう言って今度は、賢心からキスをしてくれた。