「みんな、悪ぃ。ちょっとこいつ借りるぞ」

葉山くんがしゃがんでウサギ達の頭を撫でてから、急にわたしの手を引いた。

(連れ去るなんてロマンチックね)

ユキちゃんが目をキラキラさせて、

(その調子だ、はやま!)

(澪のこと頼むよ、葉山さん)

うさまるとハカセも大きくうなずいている。

「え、えぇ……え……」

急な展開に付いていけてないのわたしだけ?

わたしの口からは壊れたロボットみたいな声しか出ない。

ずんずん前を歩き、わたしの手を引き続ける葉山くんにとまどう。

力強い葉山くんの手。

訳の分からないまま、気がついたらわたしは観覧車に乗っていた。

動物園に併設された小さな遊園地。

確かここの観覧車にカップルで乗ると幸せになれるというジンクスを聞いたことがある。

わたしには無関係な話……