「俺のせいで怖い思いをさせてごめん。今までのことお前の幼なじみに聞いた」
「え……」
唐突に葉山くんが沈黙をやぶった。
昇平くんに?
何をどこまで聞いたんだろう。
姫島さんのこと?
まさか過去のことまで聞いてたら……
葉山くんには知られたくないなんて都合がよすぎるけど、知られたくない。
「俺と関わるなって脅されてたんだろ」
「……」
返事ができない。
話の展開が読めない。
葉山くんの心の声を聞けば済むのに、怖くて聞けない。
「これからは俺がお前を守るから。だから俺から離れるな」
ジワッと胸が熱くなった。
心の中で嬉しさと切なさが混ざる。
わたしは涙を必死で我慢して、首をふった。
「脅されてたのは事実。だけど……」
「俺を避けるのは、それだけが理由じゃない、か」
やっぱりわたしの過去のこと、そしてわたしが自分のこと許せないでいること。
全部昇平くんから聞いたんだ。
「葉山くん肩、濡れてるよ。もう少し傘そっちに傾けよ」
話をそらしたわたしに葉山くんは小さくため息をついて、それ以上何も言わなかった。

