「このこと、葉山くんには言わないで。余計な心配させちゃうと思うから」
「うん……」
(言えるはずない……葉山くんが澪ちゃんを守れって言うのと同じになる……)
やっと落ち着いて、おずおずと言ったわたしの顔を昇平くんが覗き込んだ。
「澪ちゃん、そんな顔するなよ」
(好きって言いたくなるだろ)
「……」
どうしたらいいのか、分からない。
そのとき昇平くんから目をそらしたわたしの目に、少し離れた廊下の窓からこちらを見る葉山くんの姿が見えた。
きっとウサギたちに会いにきたんだ。
急いで数歩、後ろに下がって昇平くんから距離を取ったけど、時すでに遅し。
昇平くんと一緒にいるとこ葉山くんに見られたくなかった。
表情はよく見えないのに、彼の心が泣いている気がして。
今すぐ葉山くんのもとに走りたい。
けど、それはだめ。
やっぱりわたしが恋することは許されないと思うから……

