心の声は聞きたくない!


「昇平くん……」

そこには、怖い顔で姫島さんを睨みつける昇平くんがいた。

「大丈夫? 怪我してない?」

昇平くんがゆっくりわたしを立たせてくれる。

「今聞いたこと、誰に言おうか? 教師か、それとも葉山くん本人に言ってもいいかな」

「な、なによ。言いたかったら言えばいいでしょ」

あきらかに姫島さんはうろたえて、後ずさった。

「今後澪ちゃんに何かしたら許さないから」

昇平くんのトドメの一言に、姫島さんは苦虫を噛み潰したような表情で走り去った。

「昇平くん、ありがとう……」

「手、震えてる。無茶しすぎだよ」

わたしの小刻みに震える手を、昇平くんが優しく包み込んでくれた。

ほっとしたら、涙が出てきた。

こわかった……