心の声は聞きたくない!


「葉山くんに関わるなって言ったよね?」

前にわたしを脅してきたときよりもずっと低くて、静かな口調だけどドスが効いている声。

こわくて怯みそうになったけど、わたしはグッとこぶしを握りしめて、

「あなたが、ウサギ達にひどいことしたの?」

姫島さんを強くにらんだ。

「さぁ?」

(あんたが葉山くんに近づくからでしょ。人気者の昇平くんにまで手を出してるくせに……さぁ、次はどんな嫌がらせをしようかな)

口の端をあげて、意地悪く微笑んでいる。

「なんでそんなこと! わたしが気に入らないならわたしにだけ嫌がらせすればいいのに……なんでわたしの友達に!」

自分でも驚くほど強気な言葉が出た。

それほど、本当に許せなかった。

「友達だって。ウサギが? ウケる。口の聞き方に気をつけなよ。昨日は小屋の中にまでは入らないでいてあげたんだからさ。今からこの中荒らしたっていいのよ?」

「やめて!」

姫島さんが近くにあった水入れを投げてひっくり返した。

これ以上、ウサギたちを怖がらせないで!

必死に姫島さんの腕を掴んだら、

「触んな! 今後葉山くんには一切近づきませんって、土下座して謝ったら許してあげなくもないけど?」

強く肩を押されて、わたしは地面に尻餅をついた。

「おい、やめろよ」

そのとき低い声と同時に、背後から優しい腕に肩を抱かれた。