心の声は聞きたくない!


(寂しい、か?)

「うん……」

唇をかみしめて、泣くのを我慢した。

ウサギたちにこのままここに居てもらうのは、ただのわたしのわがままになる。

(動物園に会いに行けばいいだろ、一緒に)

「一緒にって……そんなの!」

デートになるじゃない。

わたしは必死に首をふった。

(お前……さっきから俺の心読んでねぇ?)

「はっ!!」

しまった、ウサギたちのことで気が動転してて。

いつのまにか、心の声に返事をしてた?

いつから?

分からないほど、無意識だった。

(その反応、まじで……? って、まさかな)

「わたし、もう教室戻る」

勢いよく葉山くんに背を向けて走ったけど、動揺から足がからまって何度もつまずきそうになった。