「なんで……? まさかわたしが、この前面倒だなんて言ったから?」
泣きそうになりながら、葉山くんに詰め寄った。
葉山くんはてっきりわたしと同じ意見で、先生たちにきっぱり言ってくれると思ったのに。
(なんでそうなる……あんな嘘、信じてねぇよ)
「じゃあ、なんで」
食いぎみなわたしの肩に手を置く葉山くん。
「まずはお礼を言わせろ。かばってくれてありがとう。嬉しかった」
「……べ、べつに」
なによ、こんな状況でお礼言うなんてずるいよ。
どぎまぎして、わたしの中であふれていた文句が引っ込む。
「なぁ、俺らが卒業したら誰がここの掃除する?」
「それは……」
葉山くんの口調はゆっくりで、小さい子どもをなだめているみたい。
「それに、ウサギたち震えてたろ? 俺たちが四六時中一緒にいられるわけじゃないし……学校が怖くなったんじゃないか?」
「……確かに、そうかもしれない……だけど……」
ウサギたちにとっては動物園の方が安心できるんだ。
ウサギたちのことを思えば、それが一番なんだ。
頭では分かったけど、離れたくない。

