土曜日の昼すぎ。
昇平くんが図書館に誘ってくれた。
家から歩いて15分くらいの場所。
来たいなぁとは思ってたけど、本は図書室で借りてたから引っ越してきて初めて来た。
思ってたより大きな外観で、たくさん本が置いてありそう。
少しだけ楽しみ。
これってデートなのかな。
でも昇平くんはただ、本読みに行こうよって誘ってくれただけだから……
「ごめん、待った? バスが遅れちゃって」
図書館の入口横で待っていたら、小走りに昇平くんがやってきた。
昇平くんを待ちながら、帰ろうかギリギリまで迷ってたけど結局結論はでなかった。
白いパーカーに黒いパンツ姿の昇平くん。
制服とは雰囲気が違って、すれ違う人たちが振り返るほど、さらにかっこよさがアップしてる。
大人っぽくて高校生に見える。
わたしはまともな私服はほぼ捨てちゃって持ってないから、いつもの制服姿なのが申し訳なくなった。
「……」
「じゃあ入ろっか」
黙ってうなずくばかりの可愛げのないわたしにも、昇平くんは嫌な顔なんてしなかった。