(澪、元気ないな)

「ごめん、少しだけ考えごとしてた」

昼休みだけ訪れるウサギ小屋。

ブラッシングをしながら、ウサギたちと話す時間だけが学校の中で落ち着ける時間。

ウサギたちに放課後来られなくなったことを謝って、少しでも葉山くんの負担が減るように内緒で昼休みの間できる掃除は済ませている。

ウサギたちは葉山くんも頑張ってくれてると教えてくれた。

ウサギたちにも葉山くんにも申し訳ない。

うさまるがわたしの膝に前足を置く。

抱き上げて撫でてあげると、うさまるはうっとり目を閉じた。

(考えたんだけど。おいらさ、ユキちゃんもハカセも大好きなんだ。だからずーっと一緒にいたいって思ったんだ。おいら、ユキちゃんのこと諦めるよ)

独り言のようにうさまるは小さな声でつぶやいた。

ユキちゃんとハカセは寄り添って日向ぼっこをしながらお昼寝中だ。

心地よさそうで、幸せそうな寝顔。

わたしは自分ことばっかで、傷ついてたうさまるの相談にものってあげられてなかった。

うさまるは一人で考えて、ちゃんと答えを出したんだ。

「そっか……うさまるは強いね。わたしも強くならなきゃいけないのに」