心の声は聞きたくない!


うわぁ、すごい……

わたしは端っこの席で小さくなる。

カラオケは家族としか来たことなかった。

こんなロックな曲にみんなで手を振りかざしてノリノリな場に馴染めるはずもない。

昇平くんの両隣には女子が2人ぴったりと座って、わたしと話すなんて到底ムリだ。

疲れた……

トイレへと避難して、個室に入ると大きなため息が出た。

「ねぇ、あの転校生なんで来てるの?」

「昇平の幼なじみだったらしいよ」

「えー! あのコさ、隣町の学校の友だちに聞いたんだけど実は相当ぶりっ子で思わせぶり女子らしいよ。しかも、男子の情報を細かく手帳にメモってるって!」

「キャハハ、なにそれキモーい」

楽しそうに笑い声が、トイレの扉越しに聞こえる。

頭がガンガン揺れるように痛い。

転校したくらいで過去の自分から逃れられるなんて甘い考えだった。

わたしは沈んだ気持ちを吐き出すように、さっきよりさらに大きくため息をついて、しばらくトイレから出られずにいた。