「昇平ー? 早く行くよー?」

昇平くんの友だちが待ちくたびれた様子で急かした。

「今からカラオケなんだ。そうだ、せっかくだから澪ちゃんも来ない? 今日は友だちたくさん呼んで派手にしようって話してたとこなんだ。初めましての人同士も多いから来やすいと思うんだけど……って、ごめん。それは建前で俺がもうちょっと澪ちゃんと話したいだけ」

ね、いいでしょ?と昇平くんは返事を待たずに、わたしの手を引いた。

「いや、わたしは……」

「待たせて悪ぃ。俺の幼なじみの立花 澪ちゃん」

みんなが口々によろしくー、と言ってくれるので断るタイミングを見失ってしまった。