心の声は聞きたくない!


それから、わたしたちは昼休憩もとらずに草むしりをした。

一心不乱にという言葉がしっくりくるほど。

職場体験の終わる17時の5分前。

ぎりぎり菜の花畑をぐるっと一周、草むしりを終わらせることが出来た。

「終わらせるのは当然だからな」

田中さんは、わたしたちを見もせずに言った。

わたしたちの職場体験は、これにて終了。

「本日はありがとうございました」

一言お礼を言って事務所を出ようとしたら、

「待ちなさい……さっき利用者の方からお礼の電話があった。職場体験の中学生が落とし物を親身になって探してくれたと。……すまなかったな、昼間は言いすぎた。君たちはよく働いてくれた。1日お疲れさまでした」

田中さんがわたしたちを引き止めて、おずおずと頭を下げた。

「……」

「いえ。田中さんたちは、こんなに大変な仕事を毎日こなされているんですよね。仕事の大変さと、それ以上のやりがいを学べました。ありがとうございました」

感動して言葉の出ないわたしの代わりに、葉山くんがわたしの言いたいことを全部言ってくれた。