「何をやってる? ちっとも進んでいないな」
田中さんが事務所から大きな声で叫んで、わたしたちはハッとして草むしりを再開した。
でも怖い顔をしてやってきた田中さんは、
「仕事を舐めてるのか? 言わせてもらうが、君は隣町の中学で息子と同級生だったろう? 田中春斗。覚えてるかね? 実は息子からうわさは聞いたことがあってね。まさか君が職場体験にくるとは思ってもみなかったよ。その様子じゃ今も反省していないようだね」
まくし立てるように、わたしに詰め寄った。
田中春斗って……
田中さんは、あの、はるとくんのお父さん?
半年前、わたしの手帳を見てうわさを流したはるとくんの冷めた目を思い出す。
こんなところではるとくんのお父さんに会うなんて。
ひどいことを言われているのに、言い返すこともできない。
でも、それは自分の蒔いた種。
恨むべきは、はるとくんじゃなくて自分。
自業自得だと分かってる。
「すみませんでした……」
わたしは消え入りそうな声で謝ることしかできなかった。

