職場体験当日。

家からバスで30分と少し離れた場所にある中央公園。

広い芝生と季節ごとに花が植えられる花畑も併設されている。

おばあちゃんはこの公園でグランドゴルフをしているらしいし、小学生の頃にひまわりを見につれてきてもらったこともある。

わたしが公園についたら、葉山くんは園内地図を一生懸命見ていた。

(結構広いな。利用者に聞かれたときのためにトイレの場所把握しとかなきゃな。ここ1ヶ所か。あ、ここにもあった。2ヶ所か)

真剣な葉山くんに思わず、ふふっと小さく笑ってしまったわたしの声に葉山くんが気づいて、

「おう」

「おはよう」

短く挨拶をしてから、わたしたちは公園奥にある事務所に向かった。

「おはようございます。本日職場体験でお世話になります」

普段は無口でぼそぼそしゃべり気味の葉山くんが、はきはき仕事モード。

わたしも出遅れないように、

「よ、よろしくお願いします!」

頑張って大きな声を出した。

手帳を取り出し、いつ仕事を振られてもメモの準備は万端。

しかもネットで下調べもしてきたから、基本理念や取り組みも手帳にメモ済みで、頭に入れてきた。

職場体験への心の準備はバッチリだ。