心の声は聞きたくない!


わたし、本当に最低だ。

今までいろんな男子を傷つけておいて。

葉山くんにドキドキして、意識してしまってる自分がいる。

そして葉山くんも意識してるんじゃないかって、ありえないのに、許されるはずないのに。

そんな淡い期待を抱くなんて。

最低だって思うのに。

だからといって彼の心の声を聞いて、意識されていない事実を突きつけられる勇気もない。

最低だ。

「わたし! 用事思い出した。帰るね」

「あ? ああ」

わたしは勢いよく立ち上がる。

葉山くんがどんな表情をしてるか分からない。

でもきっと、いつもどおり鋭い目の無表情なんだ。