「2週間も毎日放課後の時間とられて大変なんです。せめて週1回の掃除じゃだめなんですか?」
「部活もあるし……最後の大会近いんです」
みんながザワザワと騒がしくなり、不満の声が上がった。
「そもそもうちらが飼いたくて飼ってるんじゃないんですけど。中学にもなってウサギ飼ってる学校が悪いと思いまーす! どこかに引き取ってもらうとか出来ないんですかー? ね、葉山くんも……そう思うでしょ」
(葉山くんと仲良くなるチャンス! 今まで接点なんてなかったんだから。この時を待ってた!)
唐突に葉山くんのとなりに座る女子がおずおずと、でも意を決したように葉山くんに同意を求めた。
茶髪の髪を巻いて化粧バッチリの派手な女子。
上目遣いで葉山くんに体を寄せている。
すごい、あのコ葉山くんに話しかけた。
姫島さん、か。
思わず彼女の胸元のネームで名前を確認してしまった。
姫島さん、みんなが注目する中で葉山くんにアプローチするなんて本当にすごい……。
感心すると同時に昔の自分と重なる。
わたしも、あんな風に男子に体を寄せて話しかけてたなぁ。
あぁ、思い出すだけで恥ずかしい。