寝起きなのにまっすぐ鋭い眼差しがわたしをじっと見ている。
「オオカミ……? はっ! あ、いや、ごめんなさい」
つい、心の声が漏れてしまった。
だって本当にオオカミみたいな眼差しだし。
一匹狼。
この言葉は葉山くんのためにあると言っても過言じゃないほど彼をよく表す言葉だと思う。
慌てて謝ったけど、葉山くんはさらに不機嫌そうに眉間にシワを寄せた。
こ、こわい!
「オオカミって、なに」
(なんだ、こいつ。いきなり)
短く聞く葉山くんのオオカミオーラが増す。
やめて、そんなに見ないで……!
しかも教室中のみんながわたしなんかが葉山くんに話しかけたから固唾を飲んで静まり返ってるし。
こんなことなら一人で理科室行っちゃえばよかった。