母さんにジロリと見られ、父さん、リオン、僕はゆっくりと視線を逸らす。だって料理って難しいんだ!食材を切ろうとしたらあちこちに飛んでいくし、砂糖何グラムとかきっちり書かれてるし!

こんなことを考えているのは、多分僕だけじゃないと思う。リオンも父さんも僕と同じように考え込むような顔をしてるから……。

「フフッ!!アハハ!!」

僕たちの顔がそんなに面白かったのか、何故かエリカが笑い出す。釣られてエリカの隣にいた母さんも笑い出し、僕たちは今度はポカンとした顔で二人を見つめた。

エリカは鈴を転がしたかのような明るくて、綺麗な声で笑う。その顔や声に、僕は頬を気が付けば赤く染めてしまっていた。その光景をリオンにジッと見られ、隠したくて顔をまた逸らす。

エリカが来てから、些細なことで僕の胸は高鳴るようになっていた。どうしてなのか、まだよくわからない。答えには届きそうで届かないんだ。

夕食を食べた後、エリカと母さんが作ったデザートのチョコレートプディングを食べる。二人とも料理の才能ありすぎだ。