「杏子さん、智明のこと、好きですか?」

「はい?」

 あゆむさんは突拍子ないことを聞いてきた。


「好きですか?」

「はい」

 突然のストレートな質問に戸惑ったが、私は素直に気持ちを答えた。


「そうですか・・・ だったら杏子さん、どうか智明のこと、よろしくお願いします」

「えっ?」

 予想外の言葉に、私は言葉を詰まらせた。


「もう彼女でもない私がこんなことを頼むのはお門違いなことは重々承知しています、生意気なことも。けど、それでもどうかお願いします。智明を支えてやってください!」

 生意気だなんて思えなかった。それは彼女が本当に、心からそう私に願っていたからだ。智明への想いが本気だったからだ。


「あゆむさんはいいんですか? まだ智明のこと、好きなんですよね?」

「隠しても仕方ないので正直に言います、大好きです」

「だったら自分で・・・」と、私が言い掛けた時、「それが出来ないから、頼んでいるんです!」と、私の言葉を遮るように言葉を重ねてきた。そして言葉を続ける。