それから数時間経って目が覚めた。

「痛い・・・」

 朝まで飲んでいたせいか、二日酔いで頭がガンガンする。


 私は重たい体を起こし、ドラッグストアへ二日酔いの薬を買いに出掛けた。


 もちろん昼間のドラッグストアには智明はいない。私は二日酔いの薬と水を買い、河名さんに一言挨拶してからドラッグストアを出て、少し外の空気を吸ってから帰ろうと、いつもの店の外にあるベンチに腰掛けた。


 すると自分のマンションの前に、一台の酒屋さんのトラックが止まっていた。どうやら一階店舗の居酒屋さんにお酒を配達しに来たようだ。


「まさか、浅尾さん?」

 すると酒屋の店主と話す浅尾さんの姿が見えた。
 本当に浅尾さんだった。

 それはお店の常連客、加寿実さんの彼氏の浅尾さんだった。

 ビール瓶のケースを何ケースか居酒屋へ、近くの一般家庭にも配達しているようだ。


 今時瓶ビール飲む家庭もあるんやなぁ~


 一般家庭にも瓶ビール、それと缶ビールのケースも配達している。

 マンションの階段とかはキツそうやなぁ~ めっちゃ重たそう。けどさっきから一人の人がずっと運んで、浅尾さんはしゃべってるだけ。浅尾さんは運ばんのかなぁ?


 浅尾さんは居酒屋の店主と話を終えると、今度は携帯をいじりだした。そしてどこかに電話し、ニコニコと笑いながら話している。


 浅尾さん、全然運ばんやん、もう一人の人がずっと運んでるし。アキさんの話では浅尾さんばかり力仕事してるってことやったけど・・・ 


 私が見ている限りでは浅尾さんは一つもお酒を運んでおらず、一緒に来ている若い人がずっと運んでいた。


あれは息子さん? でも息子さんは働かないって聞いたしな・・・ 


んん? あれ・・・


 私はひたすらお酒を運び働く若い男性を見ていて、はっと気付いた。


「智明?」

 さっきから荷物を運び続けているのは智明だ。夜と服装が違い、作業着のようなものを着ていて気付かなかったが、そこにいるのは紛れもない、ここのドラッグストア働く浅尾智明だった。


「智明? なんで・・・? えっ、あの二人親子なの? 
いやでも浅尾さんの息子って三十歳くらいってきいてたけど・・・ お兄さん?」

 私はドラッグストアに戻り、河名さんの元へと急いだ。