私は智明が休憩時間になるのを、外のベンチで待っていた。

 すると私のスマホにメールが入る。その相手は須山さんだった。須山さんはあれからも何度かメールしてきたが、上手くかわしてきた。幸い店の方には来てないので逃れられてきたのだ。


「こんな時間にメール?」

 すると休憩に入った智明が裏口から出て来た。

「う、うん・・・」

 私の答えにくそうな反応に、智明はすぐに須山さんからのメールだと察したのか、「そうか・・・」と、言うだけで誰とは聞いてこなかった。

 智明には話してある、抱かれたのは須山さんで、今も時々誘いのメールが来ると。


「俺は別に、杏子が何をしてようと否定する気はないよ? これはあくまで杏子の問題、どう生きようが杏子の自由だ」

「もうしないよ、絶対にしない! なんでそんなこと言うの?」

「俺は杏子なら自分で答えを導き出せる、そう思ってるから」

「智明・・・」

 冷たくした後でその言葉はズルい。智明は意地悪だ。


 ♪♪♪♪♪

 すると今度は電話掛かって来た、須山さんだ。


 私は智明の顔を見る。智明は何も言わず私をじっと見ている。これは出ろということか。

 私は恐る恐る電話に出た。


「はい、もしもし・・・」

「杏ちゃん? なかなか返事がないから心配したよ。それでさ、今度の土曜日空いてる?」

 流れの良い会話。心配なんてきっとしていない、ただセックスがしたいだけなんだろう。

「土曜日・・・、ですか・・・?」

 私がそう答えると、智明が急に顔を近付けてきた。