「そうなんだ…。
寂しくなるな…」

「りつがいるじゃん!」

「純生がいないんじゃ意味ないよ」

目に涙をいっぱい貯めながら、夏菜子は言う。
予想だにしない出来事に、純生は怯む。
だけどすぐに夏菜子の背中をさする。

「ごめんな…。
だけど、粋香が心配なんだ…」

純生は、海外で仕事をしている父親に代わって、粋香を見守る必要がある。

頭の中ではわかってる。
だけど、心が追いつかない。

「転校しても、かなとは別れないよ。
だから、大丈夫」

純生は不安そうにしている、夏菜子を抱きしめた-。