呪術で刀を作り出して構えると、悪霊に向かって走り出す。

間合いに入って、僕は刀を振り下ろした。悪霊は、光に包まれると僕の白い光を放つブレスレットの中に入ってく。

刀を消して、僕は男の子に近づいた。男の子は、僕と目を合わせると「かっこいい!」と目を輝かせる。

「……ありがと。君は、何で屋根の上に……?」

僕が問いかけると、男の子は「実は」と口を開いたけど、綾がそれを止めた。

「……近くに小さな公園があるから、そこで話を聞くよ。ここだと他の人の邪魔になるし、それに……この道は、人通りが少ないわけじゃないから……」

そう言って、綾は僕の方を見る。僕は、辺りを見渡す。確かに、道の真ん中だから邪魔になるね。

「ごめん……そういや、綾ってまだ生きた人間だっけ……?」

そう言って綾に目を移すと、綾は驚いた顔を見せた。

ごめん。ずっと死神を見える人間を見たことがなくて、綾は死神なんだと一瞬思ってしまった。

「勝手に、私を死んだことにしないで!?」

綾がそう言ったことで、綾の近くを歩いていた女性が驚いた顔で綾を見つめる。

「……すみません」

綾は、女性に向かって頭を下げた。女性は、綾を通り越して歩いていく。

「……移動した方が良さそうだね」

僕の言葉に、綾と男の子は同時に頷いた。