晴輝が僕の通う高校に転校して来て、数週間が経った。

久しぶりに学校もバイトも休みになった僕は、私服を着たまま畳に寝転がっていた。僕の部屋の隅の方では、僕の家に遊びに来た紫乃が座ってる。

「……瑠依ってさ、どうしてサーカス団に入ろうって思ったの?」

「…………それは、前世での話?それとも、転生してから?」

僕が紫乃に問いかけると、紫乃は「転生してから」と答えた。僕は、体を起こすと少し考えたあと口を開く。

「……僕のパフォーマンスで、もう一度誰かを笑顔にしたかったから……前世では、団長に勧められたから入っただけなんだけどね……」

「そっか……瑠依、変わったよね。僕と出会った時よりも、明るくなっていうか……感情が豊かになったよね」

紫乃の言葉に僕は少し驚いたあと、「それ、団長にも言われたよ」と苦笑した。

「そう言えば、瑠依のバイト先の団長さん……どうして、瑠依が転生することや前世の記憶を持ってることを知ってるんだろう?」

「分からない……あ、そうだ。紫乃に、見せたいものがあるんだ」

僕はそう言うと立ち上がって、本棚の隅に置かれている箱を取ろうと本棚に近づく。この箱の中には、サーカス団の皆が作ってくれたものが入ってるんだ。

「……団長がこの間折り紙をくれたんだけど、クオリティが高くって……って、紫乃?」