『……そろそろ大丈夫だ』

夢中になってジャグリングを続けていると、静瑠の声が聞こえてきたからジャグリングを止めて、クララ様の方を見る。気付いたらクララ様は微笑んでいて、僕は心の中で驚いてしまった。

「…………久しぶりに、クララの笑顔を見ました……瑠依、凄いですね……ありがとうございます」

「……私は、酷いことをしてしまった……許せ、とは言わないが謝らせてくれ。ごめんなさい」

クララ様の変わりように僕は戸惑うことしか出来なかった。深呼吸をして、僕はクララ様を見つめる。

「……邪魔だった、という理由だけで大切な皆を転生させたことは許しません……ですが、今……僕はまたどこかで皆と会えると、不思議と信じています。クララ様、どうか思い詰めないでください……」

素直に今思っていることを伝えると、クララ様とライラ様は同時に驚いた顔を見せた。

「……紫乃、暗くなって来たから帰ろ?」

そう言って僕は紫乃の方を振り返ると、微笑んで歩き出す。

「……うん…………瑠依は、悲しくないの?」

僕の隣を歩く紫乃の問いかけに、僕は「不思議と、悲しいとは思わないな……またどこかで会えるって思ってるから」と紫乃の方を見ることなく返した。

「僕も。会うのが、いつになるか分からないけど……」

綾、晴輝、陽菜、透……またどこかで会おうね。その日まで、さようなら。