「……勘違いすんなよ。菫とかいう悪霊……確かに、俺は悪霊だ……今は、何も苦しくねぇよ……周りが信用出来ないだけでな。悪霊になったばかりの頃は、苦しくて苦しくて仕方なかった。でも、瑠依が成長してくに連れて……段々と苦しみも薄れていったんだよ。まぁ、瑠依が死神になったばかりの時は、暴走した時はあったがな」

「……あぁ、確か……瑠依に、初めて見守りの仕事を頼んだ時の」

「……そういや、そんなことあったね……」

晴輝の言葉に、僕は1年くらい前の出来事を思い出す。確か、綾が死んだ時に静瑠の声を聞いて……それから、意識を失って……。

「……あの頃は、戦うことだけが楽しくて楽しくて……まぁ、そういうわけだ。お前らのことはまだ信頼したわけじゃねぇ……だが、もう攻撃はしない。それに、俺は助けてほしいとは思っていない……俺は、瑠依と2人きりで話したいんだ。帰れ」

「…………僕なら大丈夫だから」

僕の言葉に、2人は心配そうな顔をすると「分かった」と言って建物を出ていった。2人の姿が消えるまで、2人を見つめてた僕は静瑠に目を移す。

そんな僕を見た静瑠は、口を開いた。

「……いいか、よく聞け。お前は、普通の死神は持っていない力を持っている……」