美貴恵は「私といて楽しい?」と聞いてしまったデート以来ずっと考えていた。

どんなに好きでも、どんなに一緒にいたくても、そこには絶対に埋められない大きな溝が横たわっている。
この溝がなくならない限り美貴恵は自分も、そして芳樹も苦しむことを痛いほどわかっていた。

そして、自分気持ちを誰よりもわかってくれる芳樹は、きっとの何よりも自分のことを優先して考えてくれることもわかっていた。

そう、それが自分自身の様々なことを犠牲にするとしても・・・だ。

(このまま芳樹の優しさに甘えていたい。でもそれをしてしまったら・・・。)

一生懸命に考えて、色々なことを想像した。
人に言ったら笑われてしまうような芳樹との未来も考えてみた。

それでも自分がどうやって接していくことが正しいのか…その答えが見つかるとは到底思えなかった。