大好きな芳樹と一緒に居たくて逢いたくて…。

だから美貴恵は、その影の部分だけにあえて目を閉じて気が付かないフリをしていたのかもしれない。

(こうなることはわかっていたはず。でも、あの人の声が聞けない、連絡も来ない週末がこんなに苦しいなんて・・・)

 だんだん自分の気持ちが芳樹に引き寄せられていることがわかっていたからこそ、美貴恵は週末になると、心の中の葛藤を抑えこむことで精一杯だった。

愛し愛されているという喜び。

その裏側にある、厳しく冷たい現実

今、美貴恵はどこかで割り切りながら、そして迷いながら過ごすことしかできなかった。