緩やかにカーブを描く道路の下には音もなく大きな川が流れ、視線の先には陽が落ちた闇の中にポツリポツリと灯りがともる。

芳樹は今走っているルートがことのほかお気に入りだった。

雑踏と光に包まれた都会を抜ける合図のように視界からビルやネオンが消え、目の前に突然現れる真っ暗な景色。
そして遠くには遊園地のタワーがオレンジ色に光っている。

運転席で冬の空気を楽みながら高速道路を走りきると、ライトアップされた観覧車が見えてきた。

『みなとみらい』

目的地だ。