久ぶりに会った芳樹と紗江。

お互いが別れてからどんな仕事をして、何をして過ごしていたのか、話は尽きることがなかった。

お店に入って2時間。もう一軒だけ飲みに行こうと提案したのは紗江だった。

「明日も仕事だから、そんなに遅くはなれないけどもう一軒くらい行く時間はあるよね」

「じゃあ近場で一杯だけな」

「さすがぁ、芳樹。わかってるぅ」

紗江は上機嫌だった。そして、二軒目、テーブルに着くなり話し出す。

「ねぇねぇ、なんで私たちって別れたんだっけ?」

メニューに視線を落としたまま芳樹は、手を挙げて店員を呼ぶ。

「は? 席についてすぐ話すような内容? まずはオーダーしないと。すみません、グラスの赤を2つ」