結果的にはそうなったけど、こんな風にちゃんと解決できたのは教授や光貴先生の協力が大きかったと思う。
私ひとりでは、心細くて何も出来なかった。
常に光貴先生が私をサポートしてくれて、きっとその指示を藤野教授がしてくれていたから。
だから私も頑張れたんだと、ちゃんと分かってる。
「藤野教授、光貴先生。本当にありがとうございました。お二人の協力が無ければ、きっと解決出来なかったと思います」
私は立ち上がって、二人に向かって深々と頭を下げた。
「明莉さん、頭を上げて」
それまで一言も発さずに私の話を聞いてくれていた教授が、今日初めて私への言葉を口にした。
「礼を言わなければならないのは、我々の方だよ。孝哉のために明莉さんが頑張ってくれたこと、本当に申し訳なく思ってる。どうもありがとう」
「や、やめてください、そんな……頭を上げて下さいっ」
教授と光貴先生が同時に頭を下げ、私は恐縮しすぎておろおろしてしまった。
「お二人に謝っていただいたりお礼を言われたりするような事は、本当に何もないですから……っ」
元はと言えば、私のせいなんだ。
私が孝哉先生に告白なんかしなければこんな事にならなかった。
私がちゃんと “先生と生徒” の線引きをしていれば、こんな事にはならなかったんだから……。
正直言って、孝哉先生のことを考えると、今でも胸が苦しい。
好きすぎて、……あまりにも好きすぎて、ものすごく辛い。
でも、こんなに誰かを好きになれるって、きっととても幸せなことだと思うから──。
この気持ちは絶対に偽りや勘違いなんかじゃ無い。
別れてしまったままでも、私は先生のことをこの先もずっとずっと、想い続けると思う。
それぐらいは……、密かに想い続けるぐらいは、どうか許して欲しい──。
私は何度も二人にお礼を言って、病院を後にした────。



