先生がいてくれるなら③【完】


加えて、教授と孝哉先生のこと──。


教授の纏う雰囲気と孝哉先生のそれは、一見すればとてもよく似ている。


だけど、やっぱり微妙に違う所がある。


全く同じなんてあり得ないわけだからそれは当たり前ではあるけど、でもそれだけでは片付けられない、ごくわずかな違い。


それに気付いてしまうと……全てに説明がつく──。




「もし、……お父様が違うのだとすれば、全てに説明がつく事に、私、気付いてしまって……」




お母様である教授夫人と孝哉先生がとても似ていること。


お父様である藤野教授と、孝哉先生との違い。


三兄弟と、お父様と、お母様──。



五人が並べば、その違いは最早間違いないものに私には思えてしまって……。




「……孝哉には…………」

「言っていません。私も、いま気付いたところですから……」

「そう、か……」



どうして誰も気付かなかったのだろう、そう思いもするけど、きっと教授が上手く隠して来たのだろう。


上手く隠して、気付かれそうになればそっと誘導して……。


だから今まで誰も気付かなかったし、疑問にも思わなかったんだ……。