「……わっ、素敵……」
「……気に入ってくれた?」
「はい、もちろんですっ。でも、これってとても高価なんじゃ……」
私が普段学校に着けて行っている腕時計なんかより、おしゃれで、ずっと高そうな時計。
いくら誕生日だからって、これは高価すぎる気がする。
心配になって先生の顔を見ると、先生はニッコリしながら、自らの左腕を私の方にヌッと差し出した。
先生の腕には、私に贈ってくれた腕時計とお揃いのデザインのものが巻かれていて……。
「なかなか一緒にはいられないけど、お揃いのものを身につけてたら、少しは寂しくないかなと思って」
「……先生、」
「あと、もうひとつ……」
「もう、ひとつ?」
先生は小さく咳払いをした後、
「これからも一緒に、同じ時間を刻んでいきたいから」
サラッとこんなことを言ってのけ、私の心をじわりと温かくする先生は、きっと魔法使いなんだ。
最近はあまり暴君じゃなくなったけど、でも時々悪魔みたいで、でも優しくて、こんな風にとんでもない魔法を使ってくる、ちょっとずるい魔法使いで……。
私は先生の言葉にコクリと頷く。



