9月になり、2学期が始まった。


私はいま、将棋部の部室にいる……。



ときは始業式の翌日の、放課後──。



【放課後、将棋部部室に集合。

 重要な会議につき、他言無用!】



──こんなナゾしかないメッセージで悠斗に呼び出されたのは、私、椿、市橋君、美夜ちゃん、数研の3年生部員。


集められた意味が、全く分からない。


すると、私たちを集めた張本人である悠斗が、ようやく口を開いた。





「──藤野の顔が、バレた」





……あぁ、ついに。


今年度はクラス担任を受け持ってるし、時間の問題だとは思ってた。


三年生は進路のことで面談することも多い、至近距離で長時間顔を合わせると、きっと分かってしまう……。



そもそも、今まで誰も気付かなかった方が不思議なのだ。


誰も興味を持ってなかったから、と言うのももちろんあるとは思うけど……前髪の隙間から時折見えるあの整った顔に気付かないなんて、本来ならあり得ない。


ここに集まっている面々は、瞳の色までは知らないとしても、あの恐ろしく整った顔に、とっくに気付いている。