「立花さん、大丈夫、俺がいるから」
抱き締められたままそう声をかけられ、人の体温に安心してしまって、私は反射的に細川先生にギュッとしがみついた。
細川先生の手が、私の頭を優しく撫でる。
先生は「大丈夫だよ」と声をかけながら、ずっと私の頭を撫で続けている。
なんとなくそれが心地よくて、私はされるがままになっていた。
「まだ震えてるね。雷、怖い?」
そう尋ねられ、私は首を横に振った。
「じゃあ、暗いのが怖いの?」
私は少し迷って、コクリと頷く。
「……そっか」
細川先生の私を抱き締める腕にギュッと力が込められる。
いつの間にか細川先生の携帯は床に置かれていて、ライトが天井を照らしているのが先生の肩越しにぼんやりと見えた。
それも怖い、と言ったら、消されてしまうだろうか……。
でもやっぱりどうしても怖くて、細川先生にしがみつく手に思わず力が籠もる。
どうしたら良いか分からない……まだ身体は小刻みに震えてるし、心臓もドキドキしすぎて痛い……。
呼吸だって、さっきみたいに苦しいのは今はもう無いけど、やっぱりどうしても息が上がる。
はぁ、はぁ、と肩で息をしないと、強く速く動く心臓に酸素を供給できない。



