先生がいてくれるなら③【完】


恐らくどこかに雷が落ちて停電したのだと思う。


頭では分かってる、分かってるけど…………




私の脳裏に、“あの時” の光景が思い浮かぶ──。


真っ暗で、埃っぽかった、“あの場所” の────。




私の心臓が急にドクンドクンと大きく暴れ始め、全身から冷や汗が吹き出した。




「……っ、」




──どうしよう、息が……、息が、うまく吸えない……!!



息が、息が、………!!



吸ってるのに、全然肺の中に入って来なくて、苦しい……!!




「立花さん!?」



きっと停電してすぐに、細川先生は携帯電話の懐中電灯モードでライトを点灯させたのだろう、ぼんやりとした光が私を照らし出している。



だけど、それが更に私を恐怖に陥れた────。



それはまさにあの時の光景、そのままだったから────。





自分の意思と反して全身が細かくガタガタと震えている。


息が上手く吸えなくて、私は荒い息のままその場にくずおれるように座り込んだ。


だめ、息が、息が、出来ない…………!