薄いカーテンが引かれている部屋の外で眩いばかりの稲光が走るのが見え、ほぼ間を開けずに雷の音が大地を揺らすようにゴロゴロと地響きを立てている。
そのあまりの光と音の近さに、思わずゾッとした。
確かにこんな中、外を歩くのは、すごく、危ない……。
さきほどの激しい風雨に、私も細川先生も、傘を差していたにも関わらずすっかり濡れてしまっている。
細川先生は靴を適当に脱ぎ捨てて、脱衣室と思われる所からバスタオルを持って、玄関土間に立ち尽くしている私のところに戻ってきた。
「はい、これで拭いて」
「……すみません、ありがとうございます」
私は玉ねぎの入った袋を置き、受け取ったバスタオルで濡れた体を拭く。
すると、細川先生がフッと笑った。
私が顔を上げると、「会うのはいつも雨だね」と笑ってる。
「そうですね……。先生、雨男ですか?」
私がそう返すと、先生は首を傾げて「え、立花さんが雨女なんじゃないの?」と返って来る。
待って下さい、なんで私が──、そう返そうとした所で、また雷鳴が激しくとどろく。
そして次の瞬間────、
全ての電気が消えて、漆黒の闇が訪れた────。
!!!
目は、開いているのか、それとも閉じているのか……。
何もかもが全く分からないほどの、真っ暗闇。
時々稲光が一瞬だけ部屋を照らす以外は、本当に完全に真っ暗で……。



