私を見て嬉しそうに笑う先生を頑張って睨むけど、多分ぜんぜん睨めてない気がする。
先生の顔が近づいてきて、反射的に目をギュッと瞑ると、私の額に先生の額がコツンとくっついた。
恐る恐る目を開けると、「……キスされると思った？」って至近距離で……。
あぁもうっ。
先生のばかっ。
──でも、またこんなに近くで先生の綺麗な瞳を見られるなんて、思ってなかったな……。
私が先生の瞳を覗き込んでいると、先生の手が私の頬をスルリと撫でて、先生の細くて長い指が私の唇に触れる。
「……それ、誘ってんの？」
そう問われ、違う、と言葉にする前に、くっついていた額が離れ、唇が重ねられた。
まだ完全には整っていなかった息が、また上がる。
さっきと違って口を塞がれているので、息が出来ない。
「んんっ……！」
ぎゅっと口を引き結んだまま抗議の声を上げるが、言葉にしても聞いて貰えないのに、こんな無意味な音を出したところで先生が聞いてくれるはずも無い。
……ねぇ、キスの時って、みんなどうやって息してるの……？
ドキドキしすぎて、頭が混乱して、どうすれば良いのか分からなくなって、息、出来なくない……？
ほら、……もうそろそろ、限界…………。
