先生がいてくれるなら③【完】


「……あいつ、お前に何て言ったんだ?」


「えっと……、私のこと『天性の人タラシだ』って…………」



私が高峰さんの言葉をそのまま伝えると、先生は私を抱き締めたまま爆笑し始めた。



「……先生、ひどい……」


「あはははは! いや、お前……、天性って……!」


先生はひとしきり笑い終えたあと私をまたギュッと抱き締めた。


「うん、人タラシっての、賛成だな。アイツにしては上手いこと言うじゃないか。俺もタラシ込まれたクチだもんなぁ」


そう言って先生は私を抱き締めたまま、うんうん、と頷いている。



ちょっとちょっと、聞き捨てならないんですけど!?


私が先生をタラシ込んだですって!?


逆だし、逆!!



抗議のために先生から離れようとして身体を捩るけど、びくともしない。


それどころか、先生が私の耳元に唇を寄せたのが分かり、思わずビクッとしてしまう。