「……あいつ、お前に何て言ったんだ?」
「えっと……、私のこと『天性の人タラシだ』って…………」
私が高峰さんの言葉をそのまま伝えると、先生は私を抱き締めたまま爆笑し始めた。
「……先生、ひどい……」
「あはははは! いや、お前……、天性って……!」
先生はひとしきり笑い終えたあと私をまたギュッと抱き締めた。
「うん、人タラシっての、賛成だな。アイツにしては上手いこと言うじゃないか。俺もタラシ込まれたクチだもんなぁ」
そう言って先生は私を抱き締めたまま、うんうん、と頷いている。
ちょっとちょっと、聞き捨てならないんですけど!?
私が先生をタラシ込んだですって!?
逆だし、逆!!
抗議のために先生から離れようとして身体を捩るけど、びくともしない。
それどころか、先生が私の耳元に唇を寄せたのが分かり、思わずビクッとしてしまう。



