友藤さんの歴代の彼女は、こんな風に彼氏がどこに行っても女の子に騒がれて、かつ何十人と過去に関係を持った女性がいるのを、どう消化していたんだろう。
やっぱりこんなクズの友藤さんと付き合えるくらいだから、めちゃくちゃ器の大きい女性なのかな。それともまさか同じ人種…?
知りたいのに知りたくない、なんだか不思議な感覚に囚われた。
少し冷めた紅茶を飲んで、ふうっと一息ついた。
かなり話し込んでしまったせいで、お昼休憩があと10分しかない。
そろそろ出ましょうと声を掛けて伝票を掴むと、何やら考え事をしていたはずの友藤さんにツイっと指で摘まれて取り上げられてしまった。
「あ、ちょっと。自分の分は払いますからね」
「なんで」
「逆になんでですか。奢られる理由がないです」
「男のメンツを保つため?」
「お金出さなきゃ保てないメンツなんてドブに捨てたらいいと思います」
きっぱりそう告げると、友藤さんはまた吹き出すように笑った。
「朱音ちゃんのそういう所良いよねぇ」
「タダより高いものはないと思ってるんで」
お昼の混雑時にレジで言い合いする程周りが見えていないわけではないので、纏めて精算してくれた友藤さんにお財布から千円札を2枚抜き出して差し出す。



