「ちょ、汚いです。何してんですか」
慌てておしぼりを渡すと、恨みがましそうな目で見られる。
「朱音ちゃん、ほんと男にそういう下ネタ言うの考えたほうがいいからね」
「友藤さんがケーキ見ながら何か言いたげだったから」
「言うわけないだろ、そんなこと」
朱音ちゃんの中の俺のキャラクターどうなってんだってブツブツ言いながら口元やテーブルをおしぼりで拭いている。その情けない姿が可笑しくてつい声を上げて笑ってしまった。
「あははは!ださい、友藤さん!」
「…やっぱ酷くない?俺の扱い」
「ふふふ、自業自得ですよね」
若干可哀想になったけど、人が噴き出したのを拭く手伝いはちょっと抵抗があって見てるだけになる。
「もしかして、やっぱり一口食べたかったです?」
スマートさを演出しながら、結局美味しそうな匂いに釣られて食べたくなったとか。
「それならそうと言ってくれたらいいのに。小さい男だなんて少ししか思わないですよ?」
「思うんじゃん。そうじゃなくて、さっきの話」
「さっき?」
テーブルを綺麗に拭き終わって、体勢を立て直そうと咳払いをした友藤さんが、じっと私を見つめる。
「独占欲とか嫉妬って話」
「あぁ」



