その男『D』につき~初恋は独占欲を拗らせる~


それならあまり女性と関わってこなかったような人がいい。

そう考えていった結果、友藤さんのようなクズとは正反対の、未経験の男性とお付き合いするのが私にとって1番いいのではという考えに辿り着いた。

もちろんDTなら誰でもいいというわけではない。自分がその人のことを好きになれて、相手からも思ってもらえることが大前提。

恋愛相手を探す条件に、きっと普通の人は顔とか年収とか性格を挙げるんだろうけど、私の場合DTというだけのこと。


「きっと友藤さんにはない感覚ですよね、嫉妬とか独占欲って」

食後に出されたデザートは秋らしく渋皮栗のモンブラン。下のタルト生地とマロンクリームが絶妙にマッチしていてとても美味しい。

聞かれた質問に嫌味っぽく答えるつもりが、デザートの美味しさに負けて表情が緩んでしまう。あっという間に食べきってしまった。
友藤さんは自分で頼んだフォンダンショコラが乗ったお皿を私の方に押し出した。

「…一口どうぞ的な?」
「いや、食べていいよ。これと迷ってたんでしょ?」
「え、でも…」
「俺甘いもの食べないから」

食事のメニューをあっさりドリアに決めたものの、セットに付けるデザートを何にするか真剣に悩んだのを、なぜ見抜かれているのか。
そして毎回なぜ食べもしないのにデザートセットを頼むのか。