あの初対面を超えるインパクトなんて、ルー部長がカタカナ英語を使わずに武家言葉で喋るようになったくらいじゃないと。
「…たまに思うんだけど、朱音ちゃんて男と下ネタ話せる子?」
「…常々思うんですけど、あんな初対面かましておいて私に恥じらいを持てと?」
一体どの口が?という一言を言わないのは私のなけなしの温情だ。
そしてわりと下ネタが話せてしまうのは、間違いなく奈美の影響だった。
女同士の下ネタほどえげつないものはない。もちろんここで披露する気もない。
「冷たいなぁ。俺は朱音ちゃん気に入ってるのに」
「じゃあ私にDT見分ける方法教えて下さいよ」
「だから言い方」
「…『Dの男』の見分け方。どうしたらわかりますかね?むしろどこで出会えるのかな」
友藤さんはあんなにだらしない貞操観念の自分を棚に上げて、私が『DT』とか『巨乳ナース』とか『真っ最中』とか、あけすけに発言すると眉をひそめる。
ほんとによくわからない人だ。
「見分け方って。きっとこのくらいの年齢になれば男は隠したいもんじゃない?わかんないと思うよ」
「隠したいものですか」
「まぁ、俺は違うからなんとも言えないけど」
それならどうやってDの男を探したらいいんだろう。
「そもそも何でそこまでしてDの男に拘ってんの?」
『Dの男』という隠語が定着しているのがバカバカしくて笑えてくる。



