「だって、私もう3ヶ月も探してるのにいまだに1人のDTとも出会えてないんですよ」
「朱音ちゃん、その略語はもはや隠語じゃないからね」

紳士の仮面を被った友藤さんは周りの目を気にしているみたいだけど、私はそれどころじゃない。

彼にとってはどうでもいいことでも、私にとっては切実な問題だ。


私は人を見る目がないのと同時に、人よりも独占欲というものが強い。

昔から、仲の良い友達が自分以外と仲良くしているとモヤモヤしてしまうことが多かった。

小学生の頃はその感情が何なのかわからなかったが、中学に入り、仲良くなれないと思っていた奈美と親友と呼べるほど打ち解けると、その感情にどんな名前がつくのかを理解した。

自分だけが奈美の良さを分かっていたかったのに、私が奈美と仲良くしているのを見て、外見や言葉遣いで敬遠していた周りの子も彼女と話すようになった。

それをなんとなく嫌だと思った自分が醜く感じて、奈美に嫌われてしまったらどうしようと不安に駆られた。

母に相談すると、奈美だけではなく沢山仲良しの友達を作ればいいと言われ、実際そうすることでモヤモヤした感情は徐々に薄れていった。

しかし、恋愛に関してはうまく消化することが出来なかった。

自分の彼氏が他の女の子と話していると嫉妬してしまう。
電話が繋がらないと不安だし、メッセージに既読がついたのに返信がないと気になって仕方がない。