お昼休憩にやって来たのは女の子が喜びそうなオシャレな洋食屋さん。

カントリー調の店内は木の質感を活かしたアットホームな雰囲気で、赤いギンガムチェックのテーブルクロスに、壁にはパッチワークキルトがいくつも飾ってある。

メニューはハンバーグやパスタにドリアなど種類も豊富で、量は少なめだけどセットでサラダやドリンク、デザートまでついてくる。

何度か一緒にこうしてランチに付き合ったけど、毎回違うお店に連れて行かれた。どのお店も内装が可愛くて美味しくて、何と言ってもデザートがセットなのが嬉しい。
お店の選び方ひとつとってもモテる男だとわかる。


「友藤さんなんかと仲良くランチしてる場合じゃないんだけど…」
「なんかって…、酷くない?資料室の片付け手伝ったのに」

注文したデミグラスシチューのドリアをスプーンで掬い、ふうふう冷ましながら口に運ぶ。
チーズのとろけ具合と、シチューの濃厚な味わい、中のチキンの塩っ気が丁度いい。

はふはふ食べつつ、誰も手伝ってくれとは言っていないという反論は心の中でのみに留めておく。

あの重い段ボールを書架の上に乗せていく作業はかなり大変で、友藤さんが手を貸してくれて助かったのは事実だった。

だけどそれを口実にこうして一緒にランチに来る羽目になったのだから、『なんか』と言いたい私の心情だって察してほしい。