それは、決して姉を取られなくて良かったとひとりぼっちじゃないと安堵する安心感ではない感覚。
とたんに胸が締め付けられる気持ちになる。
恋に落ちる感覚に近いのかも知れないと向き合うと思う瞬間。
すとん。と自分の正直な気持ちが分かってしまった。
ああ、なんだ、こんな簡単な事なのに遠回しにして気付かない振りをしていたんだね。
まだ知り合ったばかりだとか。本当は姉を思ってるのではとか。手当たり次第に理由を探して逃げているのはフェアじゃない。
姉が彼に向き合うのではなく、私の方こそ彼に向き合うべきなのかも知れない。
『四季からしたら図々しいかな?って思うくらい甘えていいんだからね。』
『四季が好きになった相手の事より自分の意思で突き進みなさいよ。』
ゆかりに言われた言葉を胸に焼き付けて、変な緊張感に包まれながら、ゆっくり駅へと足を運ぶ。

